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3−1 トランジスタスイッチング回路

トランジスタを使用したスイッチング回路を紹介する。
この回路を用いると、ロジック回路の出力などあまり電流の取れない信号で大電流のスイッチングが可能になる。

a.PNP・NPNトランジスタを組み合わせた回路

下図は、良く使用されるトランジスタスイッチング回路である。

B1:Q1のベース飽和電圧
CE1:Q1のコレクタ・エミッタ間電圧
FE1:Q1の直流電流増幅率
B2:Q2のベース飽和電圧
CE2:Q2のコレクタ・エミッタ間電圧
FE2:Q2の直流電流増幅率
<図−3.1.1>トランジスタスイッチング回路

CONT端子に電圧を加えることにより、Q,QをONさせて、VOUTに電圧を出力する。
まずQ1をONさせるには、ベースにVB1以上の電圧を加える必要がある。
よって、Vcontは、(1+R1/R2)VB1以上の電圧を加える必要がある。
次にQ1のコレクタに流れる電流IC1を計算する。
1に流れる電流は、IB1より求めると、

C1'=IB1・hFE1

   =((Vcont−VB1)/R1−VB1/R2)・hFE1 [A]

となる。
一方、IC1はQ2の電源電圧にも影響される。
これより求めると、

C1''=((E−VB2−VCE1)/R4) [A]

となる。
実際にQ1のコレクタに流れる電流IC1は、IC1'とIC1''のどちらか小さいほうの値になる。

これより、最大出力電流IC2は、

C2=(IC1−VB2/R3)・hFE2 [A]

で求まる。


■注意点
この回路を組むときに注意しなければいけないのが、それぞれの部品の定格を越えないことである。
抵抗の場合は、使用する部品の許容電力の1/2以下になるように定数選定する。
トランジスタの場合は、特にコレクタ損失PC(=IC・VCE)に気をつける必要がある。定格の1/2以下に抑えるようにする。
1は、比較的消費電力が小さいので小型のトランジスタが使用できるが、Q2は出力電流によっては大型のPCの大きい部品を選ぶ必要がある。
部品の定格電力はあくまで常温(20℃)のときの値であり高温になるにしたがってこの値は下がってしまうので、このように余裕を持った設計を行う必要がある。
メーカのカタログにはディレイティングカーブとしても掲載されている。
また、hFEは低温時には低下するのでこれも1/2程度で計算することが好ましい。hFEが十分でない場合Q2が十分にONできず、出力電圧の低下やQ2の異常加熱が発生する可能性がある。



b.保護回路付きスイッチング回路

図−3.1.1の回路の場合、出力がショートするとQ2に過大な電流が流れるために加熱、破損してしまう。
これを防ぐために出力がショートした場合に電流を制限する保護回路がある。
下図は、その保護回路付きのスイッチング回路である。

B1:Q1のベース飽和電圧
CE1:Q1のコレクタ・エミッタ間電圧
FE1:Q1の直流電流増幅率
B2:Q2のベース飽和電圧
CE2:Q2のコレクタ・エミッタ間電圧
FE2:Q2の直流電流増幅率
<図−3.1.2>保護回路付きトランジスタスイッチング回路

図−3.1.1の回路にQ3とR5を追加したものである。
5に流れる電流によりR5の両端に発生する電圧がQ3のベース飽和電圧VB3を超えると、Q3がONする。
そうすると、Q2のベース・エミッタ間電圧がVB2以下になるため、Q2はOFFする。
よって出力電流が制限されることになる。

R5=IC1+IC2=VB3/R5 [A]

にて、制限電流を決めることができる。


■注意点
3のコレクタ消費電力PCは、電流制限がかかる電流でも持つようにする必要がある。
出力電圧はR5の電圧降下が発生する分低下する。

※最近では、より簡単に確実に保護をかけるために図3.1.1の回路の出力にポジスタを直列に接続して保護をかけることが多い。


〜以下作成中〜

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